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ジーニアス和英辞典のIT用語【あ】

遅ればせながら、先日『ジーニアス和英辞典 第2版』を購入した。コンピュータ関連の言葉も増えているらしい。そこで、さっそく「あ」の項だけ調べたところ、修正したほうがよい記述あるいは怪しい記述がいくつか見つかった(ほかにも、同辞典の雑誌広告で「(パソコンを)再起動する restart」が載っているが、どうして reboot がないのか? これもかなり疑問である)。

さて、「あ」の項でコンピュータ用語として扱われているものは20個あった(見落としがあるかもしれない)。

アーカイブ、アーキテクチャー、アイコン、アウトプット、アカウント、アクセス、アクセスコード、アクセスタイム、アクセスポイント、アクセス料金、アクセスする、圧縮、アップグレードする、アップデートする、アドレス、穴をあける、誤り、アンイストールする、暗号化、アンドゥ

気になったものは、以下のとおり。

アーカイブ archive 《複数のファイルを(通例圧縮して)1個にまとめたもの》
→『ジーニアス英和大辞典』でも同様の説明が載っている。このままでも問題ないけれど、New York Times のサイトに掲載されたバックナンバー記事を一カ所にまとめたものもアーカイブと呼ぶので、その旨追加するとなおよいだろう。また、Webサイトで「過去ログ」という言葉をよく目にするが、これも英語にしたら「アーカイブ」となるのではないだろうか。

アーキテクチャー architecture 《コンピュータシステムの構成・設計思想》
→これはちょっと拡大解釈だ。architecture という一語だけで「コンピュータシステムの構成・設計思想」を表すことは少ないのではないだろうか。もし一語で記述することがあったとしても、その前に computer architecture、system architecture などと記していることが多いはずだ。

アクセスポイント access point 《ネットワークサービスを利用する時の接続点》
→米国のインターネット接続サービスでは、POP(point of presence)と呼ぶ(『通信・ネットワーク事典 03〜04年版』、日経BP社)。米国向けの英文作成時には要注意だ。最近では、無線LANなどの「基地」のこともアクセスポイントと呼ぶので注意したい。

アドレス address 《ホームページのアドレス、電子メールのアドレス》
→「ホームページのアドレス」は「ホームページのURL」にしたいところだが、「ホームページのアドレス」も一般的になってしまっているのかもしれない。WebブラウザのURL入力欄の名称が「アドレス」なっているので悩ましいところである。ただ単に「アドレス」と言った場合は、メルアドのことを指すほうが多いのは確かだ(日常会話で「アドレス教えて」と言われたら、たいていの場合、ケータイのアドレスのことだ)。

暗号化 encryption 《情報・クレジットカードなどの》
→ここは日本語がおかしい。"クレジットカードが" 暗号化されるわけではない。単に《データの》だけでよい。

暗号にする code、cipher、scramble
→「暗号にする」はコンピュータ用語扱いではなかったが、訳語がひとつ抜けている。「暗号化する encrypt」を追加するとなおよい。実際、encrypt はコンピュータ関連の書籍ではよく使われている。また、scramble の説明が「<電波を>暗号化する」となっていたが、これでは、電波以外では使われないように読めてしまう。ここは「<信号を>暗号化する」とすべきだ。

ちなみに、ネットワーク分野でスクランブルとは、「ある変換規則に従って元の信号を変換すること」だ。変換規則がわからなければ、その信号(=データ)は暗号と同じなので「暗号化」すると言ってもよいということになる。しかし、英和翻訳時には訳語の衝突を避けるため、scramble は「スクランブルをかける」「スクランブルする」と訳したほうがいいだろう。

参考資料
『GCD 英語通信34号』(2003年11月号)所載記事「『ジーニアス和英辞典』これまでとこれから」(小西友七)より ※PDFダウンロード
「〔ジーニアス英和〕辞典は英和辞典の本来である受信型の基本路線は守りながらも,用法指示や語法も詳しく入れており,いわゆる発信面も十分に配慮されている,これをなんとか裏返し(?)にして,日本語からの検索ができないか,それに本来の和英的なものをうまく融合すれば,その効果は倍増すると,当時では,まるで夢のような考えを抱くようになりました」 [2004/4/9追加]
辞書用例学から見たハイブリッド方式和英辞典(山岸勝榮)[2004/2/26追加]
『ジーニアス和英辞典』 − 不思議の国の倒錯した辞書(翻訳通信 1998年2月号、山岡洋一)[2004/3/19追加]

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